壁面緑化について
壁面緑化とエクセルソイル
壁面緑化は、建物の壁面に施工し、自然・建物・人にとって良い影響を与えます。環境への配慮、企業イメージの向上目的等で壁面緑化のニーズも増えており、その種類も多様化してきています。
壁面緑化に用いられる植物は、最も多いつる植物に加え、各種の木本類草本類も対象となります。壁面緑化は、都市域の温熱環境を改善する効果を持っていることに加え、私達の身近な生活において修景効果や憩いの場の創出といったことも期待できます。壁面緑化は、建物の壁面に施工し、自然・建物・人にとって良い影響を与えます。環境への配慮、企業イメージの向上目的等で壁面緑化のニーズも増えており、その種類も多様化してきています。
壁面緑化に用いられる植物は、最も多いつる植物に加え、各種の木本類草本類も対象となります。壁面緑化は、都市域の温熱環境を改善する効果を持っていることに加え、私達の身近な生活において修景効果や憩いの場の創出といったことも期待できます。
非常に利点が多い壁面緑化ですが、実際に壁面で植物を生長させる環境を整えるのは、難しいことです。
しかし、壁面緑化あるいは傾斜面緑化にエクセルソイルを利用することで、固化培地の特徴を最大に生かすことができます。土の崩れを防止するケース類が不要となり、基盤材を保持する最低限の資材で成立します。
壁面緑化の効果について
壁面緑化をするとこんな効果があります。
ヒートアイランド対策
建物の温度上昇を抑制します
建物の表面温度を下げる効果としては、実験環境下で最大11度の表面温度差が確認されています。
実験環境
場所 | 壁面 |
---|---|
日時 | 2006年8月2日 |
天候 | くもり後はれ |
平均風速 | 2.3m |
日照 | 8.6h |
最高気温 | 4.2度 |
平均湿度 | 67% |
省エネルギー対策
室内への熱量を抑制します
壁面の熱流入量の実験結果より実験環境下においては、90%の削減が確認されています。
実験環境
場所 | 壁面 |
---|---|
日時 | 2006年8月24日 |
天候 | 快晴 |
平均風速 | 1.9m |
日照 | 12.4h |
最高気温 | 35.4度 |
平均湿度 | 55% |
騒音低減効果
室内への騒音を低減します
カベルデの壁面の場合、道路の防音壁などに利用されている厚さ50mmのグラスウールとほぼ同等の吸音性能が確認されています。※ただし低周波数域を除く。
実験環境
験年月日 | 2007年5月11日 9:00~11:00 |
---|---|
温度 湿度 気圧 |
21.4度 44.4% 999.0hPa |
周波数条件 | 100~5kHz 1/3オクターブ |
測定機関 | 岡山県工業技術センター |
測定者 | みのる産業 |
試料面積 | 10.98㎡ |
CO2の削減効果
年間336.6kgのCO2を削減
壁面緑化100㎡の場合で、年間336.6kgのCO2を削減できるという実験結果があります。
1.空調負荷軽減によるCO2削減量
80wh/㎡/day×90day×100㎡=720kW
○春・秋(4月~6月・10月)
40wh/㎡/day×120day×100㎡=480kW
上記合計 1,200kW
空調機成績係数=2として
0.561(※代替値)kg・CO2/kW×1,200kW/2(※COP)/年
=336.6kg(年間CO2削減量)
2.植物に固定されるCO2量
植物体乾燥重量×0.5×44/12≒100kg
3.気化熱による気温低下
※代替値=環境省発表(平成20年度) ※COP=空調設備の優秀さを示す成績係数
{(冷房能力(kW)/冷房時消費電力(kW)+暖房能力(kW)/暖房時消費電力(kW))}/2
屋外温熱環境改善効果
壁面表面温度と地表面温度を低減します
緑化壁面は高反射面(白色の金属板を設置した面)よりも温度低減効果が高い。また、高反射面前の地表面温度が最大で約2.5℃上昇したのに対し、緑化壁面前の地表面温度は約6℃低下した。
夏の晴天日熱画像(11時に撮影)
緑化面 |
塗装コンクリート面 |
高反射面 |
壁の前に立つ人への影響も低減
緑化壁面は高反射面と比較して、赤外領域の長波成分には大きな差は見られないものの、反射日射である短波成分は小さな値となっている。長波、短波放射量を合計した全放射量では、緑化面は灰色のペンキを塗装したコンクリート壁面よりも最大25W/㎡小さく、人への影響が小さい。
長波放射量の比較
(1)緑化面-コンクリート面 |
(2)高反射面-コンクリート面 |
短波放射量の比較
(1)緑化面-コンクリート面 |
(2)高反射面-コンクリート面 |
出所)佐々木登他:鉛直壁面の素材の違いが街路空間の温熱環境に及ぼす影響の検討(その2)、日本建築学会大会学術講演梗概集(2012)
壁面緑化の工法
工法の種類
壁面緑化の種類と工法
壁面緑化の種類には主に11のタイプがあります。これらの種類から設置条件・メンテナンス性・意匠性・コストなどを勘案して選択します。
①登はん型(補助資材無)
ナツヅタなどによる、付着根や吸盤によって壁面に直接登はんできる植物を使用するタイプ。地植えで実施されることが多いが、プランターや屋上緑化の植栽基盤等によっても実施可能。
②登はん型(補助資材有)
登はんできる植物を用い、補助資材(金網・ヤシ繊維・ワイヤー・メッシュ)に上らせていき、壁面緑化を構成させるタイプ。地植えで実施されることが、多いがプランターや屋上緑化の植栽基盤等によっても実施可能。
③下垂型(補助資材無)
最上部のフロアレベルに設けられた植栽基盤から植物を下垂させるタイプ。補助資材を伴わない。
ヘデラ・カナリエンシスを用いる例が多いが、コトネアスターやほふく性のローズマリー、ビンカマジョールなども使用可能。
④下垂型(補助資材有)
最上部のフロアレベルに設けられた植栽基盤から植物を下垂させるタイプ。補助資材を伴う。
植物が下垂していく場合、付着根や吸盤をもつ種類であっても、補助資材によって壁面に付着しない。補助資材は植物が下垂していくときに補助資材を捉えて安定することを期待するか、誘引・結束させる対象として設けられる。
⑤ユニット型
あらかじめ植物が植え付け養生され、緑被が完成した状態で設置されるタイプ。完成直後に十分な緑をもった景観をつくることが可能。リザーブユニットを用意しておくことで、一部枯損が生じた場合にも取替えによって同様の景観を維持し続けることが可能。
⑥プランター片面視認型
プランターを垂直方向に複数設置するタイプのうち、壁面を背面にもち、一方向からの景観を構成するタイプ。通常のプランター緑化と基本的な構成が変らず植えられる植物のバリエーションが多い。メンテナンスも比較的容易である。
⑦プランター両面視認型
プランターを垂直方向に複数設置するタイプのうち、表裏の両方向からの景観を構成するタイプである。通常のプランター緑化と基本的な構成が変らず植えられる植物のバリエーションが多い。メンテナンスも比較的容易である。
⑧連続基盤(厚層タイプ)
植栽基盤を垂直に配置するタイプ。根系を発達させる領域が連続しているので根詰まりしにくい。
⑨連続基盤(膜タイプ)型
植栽基盤を垂直に配置するタイプ。基盤の最前面が膜で構成され、膜の一部を切り欠いて植栽基盤と連続する部分に植物を植え込む方式。植物のバリエーションを増やせ、立体感を演出できる。
⑩バルコニー先端型
室内側からの緑の景観と外側からの緑の外観を両立させられる工法であり、メンテナンス作業もバルコニー部から実施できるなどメリットの大きい工法である。
⑪ポケット交換型
ユニット自体を交換するのではなく、ポケット状の苗が収まるスペースに植物ポットを入れ込む方式での壁面緑化である。 ポット苗自体を交換できるため、室内緑化やイベントなどに利用しやすいことが特色である。
※NPO法人屋上開発研究会 技術開発研究部会 美しいまちを作るための壁面緑化 参照